誤自宅Nutanix ~某V社のVDIサポートの検証基盤移行記録~

誤自宅Nutanix ~某V社のVDIサポートの検証基盤移行記録~

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誤自宅Nutanix

~某V社のVDIサポートの検証基盤移行記録~

おはこんばんちわ
さて、某V社のVDIサポート(買収されたので謎の半導体企業B社) から転生して、某N社の基盤サポートに転生したpingsongでございます。

え?、そんな話聞いてない?
そんなバッサリ切らないでほしいものですね、いろいろあったのです。(現Omナントカ社)

とりあえず、某V社のVDIサポート用に自宅で構築していた検証環境を、
某N社仕様に切り替えなきゃいけない企業さながらの環境移行作業が発生したので、
備忘録としてまとめます。

※この発言は個人の見解であり所属する組織または企業の公式見解ではありません。
(↑一番大事)
 

結論

何事も、結論が見えてるほうが理解度が進むと思っているので、
先に答えを出しておきます。

“PrismCentral”を使うことで、Nutanix Move無しで、
vSphere (ESXi)からNutanix Community EditonへvSphere(ESXi)上のDomainControllerを移行することが出来た。

移行に必要なこと

  • vSphere (ESXi)上に展開している仮想マシンをOVAファイルとしてエクスポートできること
  • 移行先のNutanixでPrismCentralを展開できるリソース的余力があること (これが鬼門)
  • KVMに対する気合 (そもそも、KVM触ったことない人)

移行手順

ESXi側の作業

まず前提としてESXi稼働環境がnestedでも物理でも1台あるものとします。
今回の場合は、物理でvSAN環境を組んでいたvSphere 8.0u3環境となります。

  1. まずは、ここで躓きます。
    vSphere上で稼働しているWindows仮想マシンに関しては、ディスクのパススルー(SCSI)が上手く認識できている状態ですが、
    Nutanixでは基盤がKVMのためVirtIO-Dirverを使わないとディスクのパススルー(SCSI)を認識することが出来ません。

    そのため、ESXi上で稼働しているWindows仮想マシンに関して、VirtIO-Driverをインストールする必要があります。
    VirtIO-Driverのダウンロード元は以下のURLを参照してください。

    https://next.nutanix.com/discussion-forum-14/download-community-edition-38417

    上記のURLは、.nextアカウント (Nutanix CEをダウンロードするときに使ったアカウント) が必要となります。
    ダウンロードは、.isoファイルを使うといいかもしれません。  

  2. VirtIO-Driverをダウンロードしたら、vSphere上で稼働しているWindows仮想マシンに、
    VirtIO-Dirverの.isoファイルを仮想マシンのCD/DVDドライブに読み込ませてください。

    Windows仮想マシン上にVirtIO-Driverの.isoイメージが認識できていれば問題ありません。  

  3. 次に、Windows仮想マシン上で、Windowsのデバイスマネージャを開きます。
    image

    なお、対象DomainControllerのOSはWindows Server 2025になります。
    デバイスマネージャーは開いたら、コンピュータ名のWindowsマシン名を右クリックし、”ドライバーの追加” を選択してください。

     image

    上記の “ドライバーの追加” を選択すると、具体的にどこからドライバを引っ張ってくるのか指定する必要があります。
    今回の場合は、OSがWindows Server 2025になりますが、VirtIO-Driverの.isoファイルには Windows Server2022までしか入っていません。

    そのため、今回はWindows Server 2022のx64フォルダを選択して、
    ドライバをインストールします。 (自己責任)

     image

    ドライバのインストールが完了したら、VMware Toolsをアンインストールしておいてください。
    勘のいい人は、"何でVirtIO-Driverのインストールが完了した時点で、
    VMware Toolsをアンインストールするの?、先に抜いておいたほうが余計な問題引く確率少なくね?"
    と思われるかもしれません。

    まぁ、ぶっちゃけた話、その通りではあります。
    VMware Toolsを先にアンインストールしておくに越したことはないんですが、
    仮想マシンのイーサネットアダプタで、VMXNET3 を利用している場合は、VMware Toolsをアンインストールした時点で、
    通信が出来なくなり死にます。

    そのため、"VirtIO-DriverをインストールしてOS落とすぞ!!"、というギリギリまでVMware Toolsのアンインストールをしていないものとなります。
    なお、Nutanixでは、イーサネットアダプタとして VMXNET3を利用することは出来ません。(Intel E1000は使えます。)  

    Nutanix側に仮想マシンを移したタイミングで、イーサネットアダプタは新規に作成しなおしてVirtIO-Driverのイーサネットアダプタを付け直すことをお勧めします。

    では、上記のことを理解し、
    作業完了となっている場合は仮想マシンをシャットダウンしてください。

  4. 次に仮想マシンをOVA化するためにVMware Workstation Proをインストールします。
    某V社(買収されたので謎の半導体企業B社)は、今回非商用版利用者に向けての施策として、
    Windows版では、VMware Workstaion Pro, Mac版ではVMware Fusion proがライセンス契約無しで解禁となりました。

    詳細は、以下のtweetを参照すると良いかもしれません。
    https://x.com/yuki_kawamitsu/status/1868976442576715940

    用があるのは、メインのソフトウェアではなく付随してくるovftools.exeに用があるものとなります。
    なお、今更知ったのですが ovftoolは単体でも配布していたらしいです。

    image

    参照先は以下の通り
    https://developer.broadcom.com/tools/open-virtualization-format-ovf-tool/latest

    (恥ずかしながら勤務して4年間知らなかったです、言い訳はVMware Workstation Proをメインで使ってたのでovftool単体を必要としていなかったため)

  5. ovftoolを使った仮想マシンのエクスポートをすると以下のような出力になります。

    VMware Workstation Proを使う場合は、ovftoolの格納場所は以下です。

         “C:\Program Files (x86)\VMware\VMware Workstation\OVFTool”

    ovftool単体を使う場合は、実体ファイルをどこに置いてもいいです。  

    OVAファイルエクスポート時の出力

    実行コマンド

          ovftool.exe vi://root@ESXiのIP/仮想マシン名 'C:\Users\ユーザー名\Desktop\仮想マシン名.ova'
    
          Enter login information for source vi://172.16.2.221/
          Username: root
          Password: ****************
          Opening VI source: vi://root@172.16.2.221:443/esxi2nutanix-win
          Opening OVA target: C:\Users\ユーザー名\Desktop\esxi2nutanix-win.ova
          Writing OVA package: C:\Users\ユーザー名\Desktop\esxi2nutanix-win.ova
          Transfer Completed
          Completed successfully
    

    なお、上記で接続先をESXiとしていますが、vCenter Server宛てに接続を確立したい場合は、 vi://administrator@vsphere.local@vCenter ServerのIPアドレス/仮想マシンのパス で指定すると接続できます。

    OVAのエクスポートが完了すると、上記の出力例で言う “Completed successfully”が出力されます。  

  6.  エクスポートしたOVAファイルが存在するか確認してください

Nutanix側の作業

  1. Nutanix CE 2.1を利用している方は、AOS6.8.1がデフォルトとなります。
    今回の作業では、Nutanix側にPrism Centralを構築したいので、
    Prism Central 2024.x のバージョンを展開してください。

    Prism Centralの展開方法は、同Advent Carender参加者の island ryossy氏 のブログを参照いただけますと大変助かります。
    Prism Centralをデプロイしてみた。-pc.2023.4版- - ryossyislandのブログ  

  2. Prism Central の構築が完了したら、画面左側のペインから “OVAs” と記載されている項目を選択してください。
    画面左手の、Computer&Storag配下“OVAs”となります。  

    image  

  3. OVAsを選択すると、現在所持しているOVAイメージ一覧が表示されます。
    初期状態では特段にOVAイメージは登録されていません。

     image

    “Upload OVA” を選択すると、 OVAアップロードに関する画面に遷移します。    

  4. 画面遷移後、OVAファイルをアップロードするウィザードが展開されます。
    “Checksum” 以外の項目を埋めて、OVAファイルをアップロードすれば問題ありません。

     image

    サイズが、7GB弱で、アップロード元とNutanix側の双方が10GbEでおおよそ初期アップロードまで 10分ほどです。 
    アップロード作業自体は、バックグランドでも処理が可能です。 
    また、OVAのアップロードが完了しても、 OVAがファイル的に正しいかをチェックするタスクが走ります。 
    この、タスク名 OVA vaildateが意外と時間がかかり約15分ほどかかります。そのため、すぐOVAが有効になることはありません。  

  5. OVAファイルのファイル検証が終わると、OVAが展開できるようになります。

     image

    OVA Nameの左側、チェックボックスを選択して、
    アップロードしたOVAにチェックが入るようにしてください。
    image

    OVAにチェックが入った場合は、画面上側、”Actions”を選択し、 
    “Deploy as VM” を選択することで、OVAから仮想マシンを展開することができます。 

    “Deploy as VM” を選択後も、 画面遷移があります。  

    OVAから展開する仮想マシンの具体的な割り当てリソースの詳細を決めていきます。
    image

    この時、入力が必要なのは、最上段の “Name” ですが、 ここはOVAの名前が引き継がれます。 
    問題ない場合は変更する必要はありません。 

    また、VM Propertiesの欄では、ESXiで稼働していた仮想マシンのサイズがそのまま引き継がれます。 
    そのため、新規に仮想マシンのサイズを変更したい(vCPU数、 CPUコア数、メモリ数)場合は、変更できます。 

    最後のMemory Overcommitは、正直個々人にお任せするものになりますが、
    私はvSphereの自宅基盤上でも Overcommitは明示的にオフにしていました。
    潜在的な障害回避のためです。

    次に、Networkの欄で、NICを設定します。

    ESXi上のポートグループ名とPrism Element上で設定したサブネットが、

    完全なる同一名称である場合はそのまま引き継がれますが基本的には再設定したほうが無難です。

    画面右側にある鉛筆マークを選択して、改めてPrism Element上で作成したサブネットを選びなおしてください。
    また、NIC Configrationの項目もあり、接続するNICを”Access” にするのか “Trunk” にするのかも選択可能です。

    つまるところ、VLANどうするんの?という選択です。

     image

    続いて、画面下側 Boot Configurationです。
    仮想マシンをUEFIで動かすのか、BIOSで動かすのかですが、
    原則ESXiで動いている仮想マシンのBoot方式に従ってください。  

    ESXiだと、以下の画面でブート方式がUEFI or BIOSのどちらなのかを確認することが出来ます。  

    image

    ESXi上で稼働している仮想マシンに関しては、ESXi8.0u3の基盤で、
    仮想マシンが比較的新しめのOSを使っている場合、大体UEFIが適用されています。

    このあと、GPUのパススルーの設定画面や、
    仮想マシンにおけるsysprep(カスタマイズ)の設定項目が出てきます。

    しかし、今回は使わないため具体的な解説は無しとします。
    最後のレビュー項目を画面右下の ”Finish” ボタンで完了すると、
    仮想マシンは比較的すぐにクローンされます。

  6. OVAから仮想マシンのクローンタスク実行後

    画面左側のメニューから、 “VMs” を選択し、
    仮想マシン一覧を表示するとOVAからクローンされた仮想マシンが表示されます。

    image

    仮想マシンにマウスカーソルがあたってる状態で、
    右クリックすると “Power On” 表記があるので、仮想マシンをパワーオンしてください。

    ESXiからエクスポートする前に、Nutanix VirtIOをインストールしているので、
    Nutanix上で起動した場合でもインターネットへの疎通は問題なく行うことが出来ます。

    これで、無事vSphere上で稼働していた仮想マシンを、
    Nutanix上への移行することがが出来ました。

結論

vSphere環境からNutanix環境への仮想マシン移行に関しては、Nutanix Moveを利用する記事が多いのが実情です。
ただ、Nutanix CEを利用していて、SIer勤務(Nutanixとの取引アリ) , エンドユーザー様, パートナー様以外の方は、
Nutanix Moveのパッケージダウンロード権限が無く、かなり移行難度が跳ね上がります。

正直な感想として、企業のVMware vSphere基盤からNutanix基盤への移行案件より、
誤自宅vSphere(ESXi)基盤から、Nutanix CE基盤への移行のほうが遥かに難しいと感じました。
(KVMの勉強をしていなかったのが良くなかったww)

この記録が、少しでも広まり誤自宅ラックの基盤採用率として、
Nutanixが広まればこの上なく嬉しいものであります。

 

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もう少し詳しい内容+アルファは、コミックマーケット 105 (C105) 12/30 にサークル参加いたしますので、
ぜひお手に取っていただけると幸せです。
物理本は、30冊となります。

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営利目的じゃないか!!、とツッコミされる方もいるかもしれませんが、
コミックマーケットのサークル参加費と物理本の印刷代併せて、
ちょうど±0円 ぐらいになってしまう感じです。(悲しみ)

コミックマーケット C105 (12/30) と、2025年 Nutanix Meetupで皆様とお会いできること楽しみにしております。